第八回研究会のお知らせです。
来聴歓迎いたします。事前に以下のアドレスまでメールをいただけると幸いです。
geinoubunka〇gmail.com(〇を@に変えてください)
日時: 2017年10月15日(日)14:00~
於 :早稲田大学人間総合研究センター分室(27-8号館)
(新宿区戸塚町1-101 高田牧舎2階)
発表者:曽村みずき(東京藝術大学大学院)、矢嶋正幸
報告1:曽村 みずき (東京藝術大学大学院)
「薩摩琵琶の音楽構造―鶴田流を中心に―」
薩摩琵琶は、明治時代以降の東京進出により普及していった近代琵琶楽の一つである。薩摩琵琶には大きく分けて四流派(正派・錦心流・錦琵琶・鶴田流)があり、分派を経て成立した。本発表は、薩摩琵琶の複数流派の楽曲分析を通して、薩摩琵琶の音楽構造を体系化することを目的とする。
楽曲分析では、最も新しい鶴田流を中心に、錦心流、錦琵琶の三流派を対象とする。鶴田流は錦琵琶から分派して成立したが、その一方で音楽的には錦心流に立ち返ると指摘されてきた。この三流派を分析対象とすることで、流派の変遷や流派同士の関係性をより具体的に提示し、鶴田流での改革を明らかにする。
音楽構造の分析では、これまで中世・近世の語り物音楽の構造分析に用いられてきた「積層分析」および旋律句におけるフシの特徴を示す三分類「吟誦・朗誦・詠唱」に着目する。「縦」の音楽実態を示してきた積層分析へ、「横」の特徴にあたる旋律句の定型分類を併行することで、薩摩琵琶の音楽構造を概括的かつ詳細に捉えることを試みる。
報告2:矢嶋正幸
「国家に要請された民俗芸能―大正天皇悠紀斉田について―」
愛知県岡崎市の無形民俗文化財となっている「大嘗祭悠紀斉田」は、大正天皇の大嘗祭に当たって悠紀斉田に選ばれた岡崎市六ツ美の田植え歌・田植え踊・装束及び用具・記録が一括して指定されたものである。現在も6月になると悠紀斉田跡地では「六ツ美悠紀斎田お田植えまつり」が開催され、統一した衣装に身を包んだ早乙女たちの歌と踊りとともに田植えがおこなわれている。この田植え歌と田植え踊は、もともとこの地に伝承されたものではなかった。大嘗祭に合わせて新しく作られたものである。平安時代の大嘗祭では悠紀・主基それぞれの風俗舞が舞われていた記録があるが、田植え踊をしていたという記録はない。つまり近代に入って新しく作られた風俗なのである。なぜこのような新しい芸能の創作が要請され、現在まで伝承され続け、文化財にまで指定されるようになったのか。近代という時代性にスポットを当てながら明らかにしていきたい。
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