第26回研究会を下記のとおり開催します。
会場:対面会場およびオンライン会場(ZOOM)
対面会場:新宿区西新宿 7丁目14-5 富士ビル 302
※オンライン会場はZOOMを使用します。
※タイトルは変更される可能性があります。
第26回研究会を下記のとおり開催します。
おすすめ民俗芸能イベントのお知らせです。
奈良県天理市で「十津川村の盆踊り」のワークショップが開催されます。
奈良県十津川村では、毎年盆の時期に各地区で盆踊りが行われます。そのため、各地区で特徴ある歌と踊りが継承されてきました。今回、十津川村西川地区から大踊保存会のメンバーを講師としてお招きし、盆踊りの講習を行います。伝統ある十津川村の盆踊りを体験してみませんか。(奈良県十津川村の大踊は国指定無形民俗文化財に指定されています。また、ユネスコ無形文化遺産「風流踊」の1つとなっています)
2025年6月29日(土)13:00~15:00
天理駅前広場コフフン 南団体待合所
要申込(定員あり・先着順)
※動きやすい服装でご参加ください
https://forms.office.com/r/kDS24Vm8HN
松岡薫(人文学部歴史文化学科 matsuoka★sta.tenri-u.ac.jp)
★をアットマークに変更ください
芸能文化研究会は2015年に首都圏で活動する若手研究者によって発足しました。発表者が自身の調査や研究に関連した話題を提供し、議論を深めるとともに、参加者それぞれが課題を発見して持ち帰ることを目的としています。これまでの研究会では、祭りや芸能をテーマとして取り上げてきました、とくにその周辺の分野に関心を持つ方の参加を歓迎いたします。
研究会は、年間四回程度、不定期に開催しております。東京都内の会場の他、ウェブ会議システムを用いて遠方から参加することも可能です。発表者による話題提供に一時間、それを承けた参加者による議論に一時間を目安としています。学会発表よりも長い時間を使うことで、紹介する事例等を多くすることができます。今後は、通常の研究発表の他、合評会やインタビューなどの企画も検討していきたいです。
問い合わせ・連絡は下記メールアドレスからおねがいします。
geinoubunka@gmail.com
多くのみなさまの参加をお待ちしております。
日時:2025年2月16日(日)14:00~
会場1:渋谷スペース会議室303(東京都渋谷区桜丘町15-17-3階)定員16名 地図
会場2:オンライン(ZOOM)
※参加される方はお申込みフォーム(https://forms.office.com/r/hR7y9kKSzh)よりお申し込みください(2025年2月14日締め切り)。
※会場1は定員を満たし次第お申込みを締め切ります。
※オンラインではZOOMを使用します。当日に申し込みいただいたすべての方に、ミーティング情報をメールでお知らせいたします。
発表1
鎌田紗弓(東京文化財研究所研究員)
パフォーマンスの「間」:伝統音楽合奏を実証的に分析する
芸能は、役割の異なる演者が“合わせる”文脈の上に成り立っているが、それは決して特定のポイントに“機械的に揃える”ことを意味しない。むしろ「間」などの言語表現においては、“あえて微妙にずらす”時間的表現の工夫が重視されてきた。これは、従来行われてきた音楽構造や個々の技法に関する研究では扱いにくかった特徴であり、それぞれの役割が全体として協調しようとするときに生み出されるものである。本発表では、日本の伝統音楽合奏における「間」の表現を探究し、演者間協調の側面から演奏実践の営みがどのように捉えられるかを論じる。特に、歌舞伎音楽の長唄囃子合奏や雅楽の管絃合奏を事例として、実演データのタイミングや動きの同期分析、インタビュー分析などを通して、「間」を成り立たせる協調の実態を多角的に考察する。
発表2
吉川侑輝(跡見学園女子大学講師)
音楽のエスノメソドロジーは何をどのように明らかにしているか
音楽のようなノンバーバルなモダリティをそなえた現象の分析をどう進めるべきであるかは、古典的にして悩ましい問題を構成している。むろん研究の目的にそくして適切かつ可能な手法と対象を選択することが重要であることは言うまでもない。エスノメソドロジー(EM)が試みるのは個別具体的な場面を当の場面が編成される方法に即して解明することであり、その方針は典型的には映像・音声記録を利用した相互行為分析として進められる。興味深いのはこうした探求が、音楽の分析を進める社会学、文化人類学、民俗学、そして心理学等々の立場から、対象場面の局所性や手法の選択性といった観点から「奇妙な」ものと映るようだということ、そして「他者を真剣に受け取る」ことを標榜する人類学的立場や、社会成員の「認識」や「意味づけ」の特定を進める「構築主義」の立場と、EM的な経験的研究とが並置されたとき、こうした衝突が一層際立つということである。本報告が目指すのは、見かけ上類似した目的を標榜する研究方針が経験的研究の水準において相互に異質な見えを備えているという(奇妙な)状況をひとつの足掛かりとしつつ、音楽のEMが何をどのように明らかにしているかを、遠隔アンサンブルの映像等の実際のデータ分析を通じて、実演的に提示することである。
第24回研究会を下記のとおり開催いたします。
多くのみなさまのご参加をお待ちしております。
日時:11月16日(土)14時〜
会場:國學院大學 渋谷キャンパス若木タワー5階0502
趣旨説明:田邉元
発表者:高久舞、相原進、中里亮平(発表順)
※参加される方はお申込みフォーム(https://forms.office.com/r/bfwmGBTY1X)よりお申し込みください(2024年11月14日締め切り)。
※オンライン会場を予定しております。ZOOMを使用します。申し込みいただいたすべての方に、当日、ミーティング情報をメールでお知らせいたします。
※タイトルは変更される可能性があります。
第23回研究会を下記のとおり開催します。多くのご参加をお待ちしております。
日時:2024年7月28日(日)14:00~ (ハイフレックス開催)
会場:早稲田大学早稲田キャンパス(3号館604演習室)およびオンライン会場(ZOOM)
※オンラインではZOOMを使用します。申し込みいただいたすべての方に、当日、ミーティング情報をメールでお知らせいたします。
※タイトルは変更される可能性があります。
第22回研究会を下記の通り開催します。
多くのみなさんのご参加をお待ちしております。
日時:2023年5月27日(土)14:00~ (ハイフレックス開催)
会場:國學院大學渋谷キャンパス(若木タワー5階 0509演習室)
※ 以前までとは違う会場です。
およびオンライン会場(ZOOM)
※参加される方はお申し込みフォーム(https://
※オンラインではZOOMを使用します。申し込みいただいたすべての方に、当日、ミーティング情報をメールでお知らせいたします。
※タイトルは変更される可能性があります。
発表1 安西生世 (國學院大學大学院文学研究科)
植田晃司と石見神楽「大蛇」―石見神楽の〈オロチ〉誕生が地域に与えた影響―
本発表では、石見神楽の伝統的産業のうち、「石見神楽蛇胴」の製作者と成立過程を明らかにし、地域内外に与えた影響について検討する。
島根県西部・石見地域の民俗芸能、石見神楽の演目「大蛇」で用いられる「石見神楽蛇胴」は、明治末期に浜田市の石見神楽長浜社中・植田晃司が提灯をヒントに考案し、製作技術と〈オロチ〉の舞法を確立した。
この〈オロチ〉誕生以前は、蛇頭を頭にかぶり、鱗紋を描いた白衣袴の装束を用いた一人立ちの舞だった。「石見神楽蛇胴」は最長約17mにもなり、自在に伸縮するため、神話「素戔嗚尊の八岐大蛇退治」を表現する上で非常に効果的で、地域の人びとや他の神楽社中にも〈オロチ〉は受容された。
明治期から昭和の戦後にかけて全盛を極めた石見神楽長浜社中の活動と、植田晃司の蛇胴製作および舞法の教授によって、「石見神楽蛇胴」による〈オロチ〉は石見地域全体の演目「大蛇」の芸態に大きな影響を与えた。昭和30年代以降は、孫・植田倫吉が「植田晃司」の名と技術を継承し〈オロチ〉の発展と伝播を支えて現在に至る。
昭和45年の万国博覧会(大阪府)では、はじめて3つの神楽社中が合同で13頭の〈オロチ〉を出して「石見神楽・大蛇退治」のパフォーマンスを披露した。これまで、万国博覧会が石見神楽「大蛇」の最大の転換期といわれてきたが、明治末期の成立以降、石見地域で人々のおどろきと文化の受容を積み重ねた結果、石見神楽の代名詞という評価を勝ち得たのである。
しかし「石見神楽蛇胴」は、明治期以降に生まれた〈新しい文化〉として重要視されてこなかった。本発表では、当代の植田晃司や地域の人びとの聞き取り調査や資料調査の結果を提示し、石見神楽の文化と他地域の民俗芸能を支える伝統的産業の研究の必要性を検討する。
発表2 大泉雄都(帝京大学大学院文学研究科)
天然理心流剣術の「型」における内と外
天然理心流は、江戸時代寛政年間(1790年頃)に近藤内蔵之介が創始した剣術流派である。近藤内蔵之介については、遠江(静岡)の出身ということ以外詳しいことは伝わっていないが、諸国を漫遊して「鹿島神道流(鹿島心当流)」を学んだ後に天然理心流を創始したといわれている。蔵之介は、江戸両国の薬研彫りに自身の道場を構えながら、武州多摩地方や相州へも稽古に出向いて門徒の指導に当たったとされ、日野、八王子にも天然理心流が伝えられた。「八王子千人同心」を始め、周辺の村々からも多くの人が学んだとされる剣術である。その後、新撰組の隊士、近藤勇、沖田総司らが道場を継ぎ、現在も10代目宗家・平井正人氏によって、複数の道場で稽古が行われている。
各道場によって、微量の差があるものの、天然理心流の稽古は、「型」の習得を目的とした型稽古を行っている。天然理心流の「型」は入門編の「切り紙」から始まり「目録」→「中極意目録」→「免許」→「印可」→「指南免許」と、六段階に区分されており各文献に記載された内容を習得する事で、極みに至るといわれている。しかし、文献に残る「型」がすべて再現できているわけではなく、再現された型の習得の他に、宗家と一部の門下生による「型」の再現も道場の活動の中核となっている。「型」の再現にあたっては、文献に残る「型」の内容が一連の動きで再現されているか、一連の動きは合理的かつ再現性の高いものなのかを宗家を含めた門下生で検討する。また、一度再現された型であっても、改変が起こることも多い。
本発表では、天然理心流剣術の型の改変が道場の外にも影響を与える可能性があるのか、実際に道場で扱っている「型」の内容とその改変に着目しながら検討していきたい。
第21回研究会を下記の通り、オンライン形式で開催します。多くのご参加をお待ちしております。
日時:2023年2月5日(日)14:00~(オンライン形式)
※ 参加される方はお申込みフォームよりお申し込みください(2023年2月3日締め切り)。
※ Zoomを使用します。当日、ミーティング情報をお申込み時にいただいたメールアドレスにお送りします。
※ タイトルは変更される可能性があります。
発表1
Colleen C. Schmuckal シュムコー、コリーン・クリスティナ (東京藝術大学 特別研究員)
ハイアート(高級芸術)としての日本の祭囃子?ーなぜ花輪ばやしの三味線は独立した音楽としても満足できるのかー
Japanese Festival Music as "High Arts"?: How the shamisen part within Hanawa-bayashi can be satisfying as an independent piece of music
花輪ばやし(秋田県鹿角市)は、三大囃子の中で唯一、打楽器と笛の新調に三味線を取り入れ、先行する囃子(祇園囃子と神田囃子)と比較して表現の幅を広げている囃子である。しかし、2016年に花輪ばやしがユネスコ無形文化遺産に登録されたのは、この音楽の独自性ではなく、太鼓奏者が地上を歩くという祭りの山車の構造によるものである。当時の花輪ばやし会長が説明するように、この祭囃子の音楽が聴覚的に伝えられ、記録された歴史が比較的短いことから、「高級芸術」の価値が低いとみなされたため、ユネスコはこの祭の核心部分、その音楽を見落としてしまった(鹿角市、2019年)。
この音楽の実際の分析では、三味線という重要な楽器が、社会的に複雑な歴史を持ち、後から付け加えられた可能性があること、囃子というジャンル全体において共通の表現がないことなどから、一般に見落とされている。しかし、歴史的にも現在でも芸人たちの先駆的な努力によって、三味線の音楽的な理論と実践を深く理解した上で三味線の音楽的な部分が作られていることは明らかで、三味線の役割と影響力は複雑で、より慎重な検討が必要であると思われる。
2018年以降の花輪ばやしの対面フィールドワーク、インタビュー、実見、そして2018年、2019年、2022年の実際の祭り「舟場屋台」への三味線奏者としての参加を通じて、花輪ばやし自身が内在する音楽史、文化、演奏実践から、より有効な音楽分析手法を生み出すことが本研究の目標である。三味線が加わることで、打楽器や笛の演奏にどのような影響を与えるのか、また、現在の花輪芸人の多くが口にする「三味線パートの満足感」(鹿角市、2022年)を分析することで、このことを明らかにする。花輪ばやしを具体的に分析することは、現在コミュニティで活発に行われている過小評価されている音楽を正統化するために有益である。
Hanawa-bayashi
(Kazuno City, Akita Prefecture, Japan) is the only one of the three big hayashi
festival musical genres that incorporates shamisen into the shinto ensemble of
percussion and flutes, expanding the range of musical expression in comparison
to its predecessors. However, in 2016, Hanawa-bayashi was registered as a
UNESCO Intangible Cultural Heritage not for this musical uniqueness but instead
for the construction of the festival floats; which features the taiko drum
players walking on the ground. As the chairman of the Hanawa-bayashi festival,
Masahide Tozawa, explained, it is because this festival music is transmitted
aurally, and viewed as having little “high cultural art” value due to a
relatively short recorded history, UNESCO overlooked the true heart of this
festival; its music (Kazuno City, 2019).
The
actual analysis of this music has generally overlooked one of the key instruments, the shamisen, due to its socially complicated
history, possible later addition, and lack of common representation within the
hayashi genre as a whole. However, it is clear that through the pioneering efforts
of the geinin shamisen performers, both historically and still today, the shamisen’s
musical part was created through deep understanding of shamisen’s musical
theory and practices, making the role and influence of the shamisen both
complex and in need of more careful examination.
Through
in-person fieldwork, interviews, and first-hand observations of Hanawa-bayashi
since 2018, and participation in the actual festival, Funaba Float, in 2018,
2019, and 2022, the goal of this research is to create a more effective music
analytical method from Hanawa-bayashi’s own inherent musical history, culture
and performance practices. This will be done through analyzing how the addition
of shamisen influences the musical practices of the percussion and flutes, as
well as how the shamisen part feels “satisfying”: a statement made by many
present day Hanawa geinin performers (Kazuno City, 2022). A concrete analysis of Hanawa-bayashi
music is beneficial for legitimizing under-appreciated musics actively
performed by communities today.
発表2
藤森寛志(和歌山県教育委員会文化遺産課)
御坊祭の奉納芸能 ー 『御坊祭総合調査報告書』の刊行よりー
御坊祭は、紀伊半島海岸部のほぼ中央に位置する和歌山県御坊市薗に鎮座する小竹八幡神社(しのはちまんじんじゃ)にて毎年10月4日と5日の両日に行われる日高地域最大の祭礼である。
祭りは、氏子組九組から構成され、なかでも江戸時代から祭りを構成している一部の組からは奴踊(やっこおどり)や雀踊(すずめおどり)、戯瓢踊(けほんおどり)などの諸芸能が奉納される。また、全ての組から獅子舞と余興としての四つ太鼓が出される。御坊祭の特徴のい一つは、祭りを彩るこれらの奉納芸能の豊富さが挙げられる。
本報告では、平成31年から令和3年度にかけて文化庁の国庫補助金の交付を受けて御坊市が実施した「御坊祭民俗文化財調査事業」の成果から見えてきた御坊祭の奉納芸能の特徴について紹介する。
第20回研究会を下記の通り、オンライン形式で開催します。多くのご参加をお待ちしております。
日時: 2022年9月25日(日)14:00~(オンライン形式)
※ 参加される方はお申込みフォームよりお申し込みください(9月23日締め切り)。
※ Zoomを使用します。対応するブラウザはChrome、Mozilla Firefox、Microsoft Edge、Apple Safariです。当日、ミーティング情報をお申込み時にいただいたメールアドレスにお送りします。
※ タイトルは変更される可能性があります。
発表1 舘野太朗
民舞(民族舞踊/民俗舞踊)と民俗芸能
民舞(民族舞踊/民俗舞踊)は、日本各地の民俗芸能を基に再編した芸能で、わらび座をはじめとする「民俗歌舞団」、小中学校等の教育現場で実践されている。太平洋戦争後の日本で広まった、創作和太鼓、エイサー、よさこい系などの「新しい芸能」の源流のひとつでもある。日本民俗学、芸能史研究の分野では、民俗芸能という術語が一般的に用いられている。民舞はそれと目的や理念を異としながらも、微妙に重なる部分もある。本発表では民舞の受容と拡大を概観するとともに、民俗芸能との異同、相互の影響関係について若干の考察を行いたい。
発表2 德山海向子
新しい地域芸能 現代版組踊の再検討
―沖縄県うるま市による「肝高の阿麻和利」のフィールドから―
従来、地域で行われる芸能は、“神への奉納”、“祖先供養”を目的とした伝統芸能、民俗芸能という見方が主流であったが、近年は、それらに類されない芸能活動が展開している。同好会的団体による芸能、地域活性化のための芸能、教育現場での芸能、地域間交流の芸能、観光対象の芸能など多様な目的で実践されている。
2019年から2021年にかけて行われた「今を生きる人々と育む地域芸能の未来―「保存」から「持続可能性」への転換を志向する場の形成と人材育成」プロジェクトでは、地域の中で育まれてきた芸能を、民俗や伝統といった既存のカテゴリーで囲い込む見方を解きほぐし、これらを育む「地域」から芸能の持続可能な在り方を捉え直すための思考の枠組みとして「地域芸能」という言葉を設定している。地域で行われる芸能の基盤となる「地域」とは、人々が生存する地理的な範囲を示すだけでなく、そこに暮らす人々の間、人々と土地、人々とモノ、人々と出来事の間で織り上げられていく関係的な概念と捉えられる。そのような流動的な地域で行われる芸能を「地域芸能」として捉えることは、当事者たちに寄り添いながら実践を検討し、その課題に対する有効な手立てを見出せると考えられる。
現在、全国的に取組まれている「現代版組踊」は、2000年初演の「肝高の阿麻和利」を機に定着した。地域の歴史や伝統芸能を組込んだオリジナルの舞台を、中高生を中心とした地元の子供たちが主体となって運営する舞台芸能である。地域に根差した舞台作りを通して青少年の居場所作りや人材育成、地域おこしを目的としている。
本稿では、「現代版組踊」の先駆けとなった沖縄県旧勝連町(現うるま市)による「肝高の阿麻和利」について取上げ、当該地域における活動の展開と今後の課題について整理しつつ、「現代版組踊」という地域芸能の特性を挙げる。
1999年、旧勝連町教育委員会は、地域の無気力な若者たちが意欲を持てる文化活動の場を提供することと、町の意識改革を目的に、中学生による舞台作りを企画した。小浜島出身の南島詩人・平田大一氏を演出家に招き、創作されたのが「肝高の阿麻和利」である。
舞台の題材は、町のシンボルであった勝連城跡の象徴的な歴史に焦点があてられた。琉球王国時代、勝連地域を繁栄に導いたとされる勝連城按司・阿麻和利は、沖縄最古の歌謡集「おもろさうし」には英雄と詠われているが、王国編纂の正史では王府に反抗した逆臣と記されており、沖縄の古典芸能・組踊「二童敵討」では敵役として登場する。そこで、組踊で流布された阿麻和利悪人像の歴史観を乗り越えるべく、当初は、「二童敵討」に対抗する新作組踊の創作が発案されたが、演者である素人の子供たちが古典芸能を実践することは困難であったため、“現代チックな組踊”という解釈で、組踊の様式を現代風にアレンジした舞台が誕生したのである。楽曲には大太鼓や三線を用いたり、ダンスの要所に空手や琉舞の所作を振りつけたり、勝連地域の伝統芸能を取入れたりすることで、地域の伝統芸能を活かした演出が施されている。
一回きりの上演予定であったものの、初公演後に演じた中学生から再演の希望がされ、舞台活動は継続された。保護者を中心に支援団体が組織され、行政の手を離れてからも自立的な運営基盤を築き、市町村合併の壁を乗り越えながら、戦略的に舞台公演を行い、実績を積んでいる。
現代版組踊は、子供たちに故郷の誇りと魅力を自発的に発見させる生きた教材として、また、埋没していた地域の歴史を浮き彫りにし、伝統文化の良さを再認識させることで、地域における新しい価値創出の試みとなっている。「青少年の人材育成」、「地域活性化」の手法として評価を受け、他地域でも同様の取組みを志向した結果、沖縄県内外の17地域でも類似の舞台活動が誕生した。現在、異なる地域で各々の現代版組踊が演じられている一方で、全ての団体は「ダイナミック琉球」という沖縄の伝統芸能のエッセンスを含んだ曲のパフォーマンスを共有している。それにより、共通の歴史実践に従事しているという連帯感が生まれ、現代版組踊を通した各地域間交流への足場を築かれている。現代版組踊は、どの地域でも実践できる普遍性をもちながら、地域間のコネクションを生み出している。
「肝高の阿麻和利」は、今年で22年目に入る。現在うるま市は、当舞台を産業コンテンツ化することでイベント企画や修学旅行の誘致を図り、観光による地域活性化を構想している。こうした動向は、これまで舞台活動を通して育った人材の受け皿が創出され、「感動産業」の実現へと期待が寄せられている一方で、うるま市内部の認知度の低さが課題として浮かび上がってきた。
また、現代版組踊取組み自体の今後の継続性を考える上では、採算のとれる経営基盤の強化は必須であり、舞台活動全体のモチベーション維持は当初から変わらない重要な観点である。地域での舞台の在り方は変化するが、力強い継承のためには、既存の伝統芸能に習って、活動主体が本来の目的を見失わずにすむよう不可変の基軸を見出す必要もある。
【参考文献】
公立大学法人沖縄県立芸術大学『地域芸能と歩む「今を生きる人々と育む地域芸能の未来―「保存」から「持続可能性」の転換を志向する場の形成と人材育成」事業報告書』2022
德山海向子『沖縄の芸能文化における「現代版組踊 肝高の阿麻和利」の位置づけと今後の展望について』2021
本橋哲也『演劇としての歴史/歴史としての演劇:「パブリック・ヒストリー」と「現代版組踊」』2021
沖縄国際大学公開講座委員会『沖縄芸能の可能性』2005
狩俣恵一『沖縄の地域社会と芸能』コミュニティ政策学会2021
現代版組踊推進協議会ホームページ 現代版組踊推進協議会 (gendaibankumiodori.com)
正徳大学文学部文学科『民俗文化の継承におけるコストとモチベーションに関する基礎的研究』2019
第18回研究会を下記の通り開催いたします。
新型コロナウイルス感染拡大を鑑みオンライン形式で開催します。
第17回研究会を下記の通り開催いたします。
ふるってご参加ください。
日時: 2021年6月19日(土)14:00~ (オンライン形式)
※参加される方はお申込みフォームよりお申し込みください(6月16日締め切り)。
※Zoomを使用します。対応するブラウザはChrome、Mozilla Firefox、Microsoft Edge、Apple Safariです。当日、ミーティング情報をお申込み時にいただいたメールアドレスにお送りします。
報告1:伊藤純(川村学園女子大学)
「「伝承者」と言われて・・・―芸能研究におけるオートエスノグラフィ分析」
発表者は毎年8⽉に故郷の神社のお祭りで獅⼦舞を奉納し続けている。かれこれ20年になるかと思う。そのためか、しばしば「獅⼦舞の伝承者」として紹介されることがある。こうした「伝承者」というラベルを貼られるたびに、その状況を受け⼊れながらも、「伝承者」という⾔葉に違和感を覚え、時には地元の仲間に対する後ろめたさを感じていた。発表者がすすんで「伝承者」と名乗ることはほとんどない。
俵⽊悟は「「伝承者」とか「担い⼿」というような⾔葉を、ある⺠俗芸能を担う複数の、様々な⽴場の⼈々を⼗把⼀からげにして、違和感を感じることもなく使い続けてきたという点で、⺠俗芸能研究の右に出るものはないのではないか。」とこの⾔葉に疑問を呈している[俵⽊2009]。その指摘より10余年経った現在もさして状況は変わらない。むしろ、東⽇本⼤震災やコロナ禍としばしばセットで取り上げられる「⺠俗芸能の危機」とあいまって「伝承者」という⾔葉の存在がますます⼤きくなっている。
そこで本発表では⺠俗芸能に関わる⼈々を「伝承者」と⾔い表すことによって「顕在化されるもの/潜在化されるもの」について考察する。そのために「伝承者」と⾔われ続けて久しい発表者じしんのこれまでの経験を社会的⽂脈に置き直し、分析する。こうした⽅法はオートエスノグラフィという⽅法にあたるが、本発表では「調査者が⾃分⾃⾝を研究対象とし、⾃分の主観的な経験を表現しながら、それを⾃⼰再帰的に考察する⼿法」として捉えておく[井本2013]。実演者が少なくない芸能研究において、⾃⼰の経験を考察の対象とすることの意義も同時に⽰したい。
※参考文献
井本由紀2013「オートエスノグラフィー」『現代エスノグラフィー―新しいフィールドワークの理論と実践』新曜社
俵木悟2009「民俗芸能の「現在」から何を学ぶか」『現代民俗学研究』1
報告2:鈴木昂太(東京文化財研究所 研究補佐員)
「 芸態研究の可能性―岩手県北上市和賀大乗神楽の事例に基づいて―」
芸能文化研究会第14回研究会では、久保田裕道氏が「芸態研究のススメ」と題した発表をされた。芸態の分析方法をさまざまな実例を挙げて説明された久保田氏の問題提起は、今後の民俗芸能研究の在り方を考えるうえでも重要なものである。そこで今回の発表では、筆者なりの芸態研究の方法(可能性)を提示することを目的としたい。
芸態研究においては、「芸態」という言葉の定義を確認するとともに、以下の二つの問題が考えられる必要がある。
一つ目は、演ぜられている芸能を、どのように把握(理解)し、芸態として取り出すかという認識論的な課題である。一つの芸能は、舞(身体表現)や奏楽などさまざまな要素から成り立っている。そのうちの何を、どの視点から把握すれば、芸能を理解したことになるのだろうか。
二つ目は、把握した芸態(データ)を、どの視点から分析し、論として広げていくかという問題である。筆者は、ある一つの芸能の芸態を理解した後には、他の芸能との比較や論者それぞれの観点から考察を行うなどして、より多くの研究者の関心を集めるかたちで芸態(データ)を提示しなければならないと考えている。こうした「翻訳」の作業は、芸態研究を実りあるものとするためには必須である。ただの芸態分析に留まらず、芸態のあり方から立ち上げた論を広げる分析方法には、どのような視点があるのだろうか。
以上の課題を、岩手県北上市煤孫地区に伝承される和賀大乗神楽の事例に基づいて検討していきたい。その際には、神楽の伝承者が自身の舞を説明する際に語る「手次」という概念に注目して論じていく。
新型コロナウイルス感染拡大を鑑みオンライン形式で開催します。
多くのご参加をお待ちしております。
日時: 2021年3月20日(土)14:00~ (オンライン形式)
報告1: 荒木真歩 ( 神戸大学大学院 )
薩摩硫黄島の民俗芸能の現在ー三島村の民俗・人類学的研究史をふまえてー
硫黄島とは、鹿児島県鹿児島郡三島村に属する離島であり、
一方で硫黄島は俊寛伝説があることから歌舞伎役者の故・
報告2:髙久舞(國學院大學兼任講師)
八王子市小泉家を中心とした芸能の系譜とネットワーク
※参加される方はお申込みフォームよりお申し込みください(3月19日締め切り)。
※Zoomを使用します。
第15回研究会を下記の通り開催いたします。新型コロナウイルス感染拡大を鑑みオンライン形式で開催します。多くのご参加をお待ちしております。
日時: 2020年9月19日(土)14:00~ (オンライン形式)
報告1:市東真一(神奈川大学日本常民文化研究所特別研究員)
「オフリョウ神事の研究ー穂高神社御船祭を中心にー」
本発表では、長野県安曇野市の穂高神社で開催されるオフリョウ(御布令)神事に注目する。そこから、オフリョウと称する行為の意味やその展開を分析し検討を行う。
発表者は2018年より安曇野市教育委員会主催のお船祭調査団に参加し、オフネ祭の調査を行ってきた。穂高神社の御船祭は、毎年9月26~27日に開催される大型の船型の曳きものが登場する祭礼である。この御船祭では、宵祭と本祭の神事終了後に「オフリョウ(御布令)」と称しして、三階菱の旗を先頭に境内を時計回りに3周することが行われている。このオフリョウという行事については、行われるようになった時代、行う目的について長らく明らかにされていなかった。調査団の中でも、このオフリョウの行事について重点的に調査が行われていたが、それらについて明らかすることができなかった。
オフリョウという行事については、穂高神社以外にも安曇野市内で開催される曳きものが登場する祭礼でも行われており、過去に刊行された複数の報告書等で報告されてきた。しかし、それらの報告書などでは、この行事についての意味合いや比較などが十分な検討がなされていなかった。さらに、オフリョウと称される行事については、近隣の松本市内の祭礼でも存在が確認されている。これらのオフリョウの行事についても同様に、報告書に記載されているものの安曇野市内のオフリョウとの比較検討が行われていなかった。
本発表では、以上の課題をもとに穂高神社の御船祭を中心にオフリョウを行う意味とその展開について検討を行う。特に発表では、①オフリョウ旗の存在、②オセンド(御千度石)との関連、③オフリョウと観客との関連について報告する。併せて、松本市内の祭礼で行われているオフリョウとの関連についても報告していく。
報告2:ヤンセ・ヘルガ(日本学術振興会外国人特別研究員・東京文化財研究所)
「ユネスコ無形文化遺産保護条約とジェンダー―日本の記載文化遺産を分析対象として」
文化遺産をジェンダーの視点から眺めてみると、両者が深い関係にあることが見えてくる。まず一つ言えるのは、文化遺産やその保護に関する制度・体系・言説の基礎には、ジェンダーの要素が存在していることである(Smith 2008)。また、ジェンダーによる役割分担、ルール、参加可能性が定められている文化遺産は、ユネスコの文化遺産に関する条約、特に無形文化遺産保護条約のなかに存在している。
このように、ジェンダーは文化遺産の構成要素の一つになっているが、ジェンダーに関する課題は複雑であるため、触れられないことが多い。特に、伝統的な行事の中でのジェンダーに関する課題は、繊細な扱いを受けている。そのため、ジェンダーに関する差別は、グレーゾーンにされ、議論が棚上げにされがちである。さらにShaheedは、ジェンダー差別が、文化・宗教・伝統と結び付けられて守られていると指摘している(Shaheed 2014)。
こうした状況は、無形文化遺産保護条約に関しても、2013年に発行されたユネスコの調査報告において指摘された。議論が避けられてきた理由は、もしこの条約テキストのルールを厳密に守った場合、多くの無形文化遺産は記載できなくなる可能性が高いからだという(UNESCO Internal Oversight Service 2013, paragraph 72)。しかしながら、ジェンダーというトピックは近年徐々に注目されてきており、今後は避けられない課題である。
本発表では、一つの国の代表一覧表に記載されている無形文化遺産を対象とし、推薦や記載に関する公式書類の中にあるジェンダーに関する情報を分析する。グレーゾーンであるため情報が少ない中で、どれだけジェンダーに関する状況が把握できるのかを明らかにしていきたい。
Shaheed, Farida. 2014. Foreword in Gender Equality, Heritage and Creativity. UNESCO.
Smith, Laurajane. 2008. “Heritage, Gender and Identity.” In The Ashgate Research Companion to Heritage and Identity, eds. Brian Graham and Peter Howard. Ashgate.
UNESCO Internal Oversight Service. 2013. “Evaluation of UNESCO’s Standard-Setting Work of the Culture Sector: Part I – 2003 Convention for the Safeguarding of the Intangible Cultural Heritage.” Final report. IOS/EVS/PI/192.
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