第25回研究会を下記のとおり、開催いたします。
多くのみなさまの参加をお待ちしております。
日時:2025年2月16日(日)14:00~
会場1:渋谷スペース会議室303(東京都渋谷区桜丘町15-17-3階)定員16名 地図
会場2:オンライン(ZOOM)
※参加される方はお申込みフォーム(https://forms.office.com/r/hR7y9kKSzh)よりお申し込みください(2025年2月14日締め切り)。
※会場1は定員を満たし次第お申込みを締め切ります。
※オンラインではZOOMを使用します。当日に申し込みいただいたすべての方に、ミーティング情報をメールでお知らせいたします。
発表1
鎌田紗弓(東京文化財研究所研究員)
パフォーマンスの「間」:伝統音楽合奏を実証的に分析する
芸能は、役割の異なる演者が“合わせる”文脈の上に成り立っているが、それは決して特定のポイントに“機械的に揃える”ことを意味しない。むしろ「間」などの言語表現においては、“あえて微妙にずらす”時間的表現の工夫が重視されてきた。これは、従来行われてきた音楽構造や個々の技法に関する研究では扱いにくかった特徴であり、それぞれの役割が全体として協調しようとするときに生み出されるものである。本発表では、日本の伝統音楽合奏における「間」の表現を探究し、演者間協調の側面から演奏実践の営みがどのように捉えられるかを論じる。特に、歌舞伎音楽の長唄囃子合奏や雅楽の管絃合奏を事例として、実演データのタイミングや動きの同期分析、インタビュー分析などを通して、「間」を成り立たせる協調の実態を多角的に考察する。
発表2
吉川侑輝(跡見学園女子大学講師)
音楽のエスノメソドロジーは何をどのように明らかにしているか
音楽のようなノンバーバルなモダリティをそなえた現象の分析をどう進めるべきであるかは、古典的にして悩ましい問題を構成している。むろん研究の目的にそくして適切かつ可能な手法と対象を選択することが重要であることは言うまでもない。エスノメソドロジー(EM)が試みるのは個別具体的な場面を当の場面が編成される方法に即して解明することであり、その方針は典型的には映像・音声記録を利用した相互行為分析として進められる。興味深いのはこうした探求が、音楽の分析を進める社会学、文化人類学、民俗学、そして心理学等々の立場から、対象場面の局所性や手法の選択性といった観点から「奇妙な」ものと映るようだということ、そして「他者を真剣に受け取る」ことを標榜する人類学的立場や、社会成員の「認識」や「意味づけ」の特定を進める「構築主義」の立場と、EM的な経験的研究とが並置されたとき、こうした衝突が一層際立つということである。本報告が目指すのは、見かけ上類似した目的を標榜する研究方針が経験的研究の水準において相互に異質な見えを備えているという(奇妙な)状況をひとつの足掛かりとしつつ、音楽のEMが何をどのように明らかにしているかを、遠隔アンサンブルの映像等の実際のデータ分析を通じて、実演的に提示することである。