2020年8月14日金曜日

第15回研究会のお知らせ





 第15回研究会を下記の通り開催いたします。新型コロナウイルス感染拡大を鑑みオンライン形式で開催します。多くのご参加をお待ちしております。


日時: 2020年9月19日(土)14:00~ (オンライン形式)

報告1:市東真一(神奈川大学日本常民文化研究所特別研究員)

「オフリョウ神事の研究ー穂高神社御船祭を中心にー」

 本発表では、長野県安曇野市の穂高神社で開催されるオフリョウ(御布令)神事に注目する。そこから、オフリョウと称する行為の意味やその展開を分析し検討を行う。

 発表者は2018年より安曇野市教育委員会主催のお船祭調査団に参加し、オフネ祭の調査を行ってきた。穂高神社の御船祭は、毎年9月26~27日に開催される大型の船型の曳きものが登場する祭礼である。この御船祭では、宵祭と本祭の神事終了後に「オフリョウ(御布令)」と称しして、三階菱の旗を先頭に境内を時計回りに3周することが行われている。このオフリョウという行事については、行われるようになった時代、行う目的について長らく明らかにされていなかった。調査団の中でも、このオフリョウの行事について重点的に調査が行われていたが、それらについて明らかすることができなかった。

 オフリョウという行事については、穂高神社以外にも安曇野市内で開催される曳きものが登場する祭礼でも行われており、過去に刊行された複数の報告書等で報告されてきた。しかし、それらの報告書などでは、この行事についての意味合いや比較などが十分な検討がなされていなかった。さらに、オフリョウと称される行事については、近隣の松本市内の祭礼でも存在が確認されている。これらのオフリョウの行事についても同様に、報告書に記載されているものの安曇野市内のオフリョウとの比較検討が行われていなかった。

 本発表では、以上の課題をもとに穂高神社の御船祭を中心にオフリョウを行う意味とその展開について検討を行う。特に発表では、①オフリョウ旗の存在、②オセンド(御千度石)との関連、③オフリョウと観客との関連について報告する。併せて、松本市内の祭礼で行われているオフリョウとの関連についても報告していく。

 


報告2:ヤンセ・ヘルガ(日本学術振興会外国人特別研究員・東京文化財研究所)

「ユネスコ無形文化遺産保護条約とジェンダー―日本の記載文化遺産を分析対象として」

 文化遺産をジェンダーの視点から眺めてみると、両者が深い関係にあることが見えてくる。まず一つ言えるのは、文化遺産やその保護に関する制度・体系・言説の基礎には、ジェンダーの要素が存在していることである(Smith 2008)。また、ジェンダーによる役割分担、ルール、参加可能性が定められている文化遺産は、ユネスコの文化遺産に関する条約、特に無形文化遺産保護条約のなかに存在している。

 このように、ジェンダーは文化遺産の構成要素の一つになっているが、ジェンダーに関する課題は複雑であるため、触れられないことが多い。特に、伝統的な行事の中でのジェンダーに関する課題は、繊細な扱いを受けている。そのため、ジェンダーに関する差別は、グレーゾーンにされ、議論が棚上げにされがちである。さらにShaheedは、ジェンダー差別が、文化・宗教・伝統と結び付けられて守られていると指摘している(Shaheed 2014)。

 こうした状況は、無形文化遺産保護条約に関しても、2013年に発行されたユネスコの調査報告において指摘された。議論が避けられてきた理由は、もしこの条約テキストのルールを厳密に守った場合、多くの無形文化遺産は記載できなくなる可能性が高いからだという(UNESCO Internal Oversight Service 2013, paragraph 72)。しかしながら、ジェンダーというトピックは近年徐々に注目されてきており、今後は避けられない課題である。

 本発表では、一つの国の代表一覧表に記載されている無形文化遺産を対象とし、推薦や記載に関する公式書類の中にあるジェンダーに関する情報を分析する。グレーゾーンであるため情報が少ない中で、どれだけジェンダーに関する状況が把握できるのかを明らかにしていきたい。


参考文献

Shaheed, Farida. 2014. Foreword in Gender Equality, Heritage and Creativity. UNESCO.

Smith, Laurajane. 2008. “Heritage, Gender and Identity.” In The Ashgate Research Companion to Heritage and Identity, eds. Brian Graham and Peter Howard. Ashgate.

UNESCO Internal Oversight Service. 2013. “Evaluation of UNESCO’s Standard-Setting Work of the Culture Sector: Part I – 2003 Convention for the Safeguarding of the Intangible Cultural Heritage.” Final report. IOS/EVS/PI/192. 



※参加される方はお申込みフォーム(https://forms.gle/qXbG2msShrg6Z8nR8)よりお申し込みください。

※Google Meetsを使用します。対応するブラウザはChrome、Mozilla Firefox、Microsoft Edge、Apple Safariです。当日、ミーティング情報をお申込み時にいただいたメールアドレスにお送りします。


2020年7月11日土曜日

第85回神戸人類学研究会

研究会のご案内をいただきましたので掲載いたします(芸能文化研究会の催しではありません)。

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第85回神戸人類学研究会

〈日時〉2020年7月27日(月)17:00〜18:30

〈場所〉オンライン(参加登録はこちらのURLから、7月27日の13時までにお願いします)
    https://jp.surveymonkey.com/r/RKRF3Q5

〈発表者〉三隅貴史 氏(関西学院大学 大学院研究員)

〈発表タイトル〉共同性、自己充足、そして公共財―3つのアクターからみる東京圏の神輿渡御―

〈要旨〉
現代の東京都区部には、一見すると神輿渡御が衰退する要因になると思える社会的環境が複数存在している。しかし実際には、2020年を例外として、多くの地域で神輿渡御が活発に行なわれ続けているのだ。これはいったい、なぜなのだろうか。
本発表では、都区部東部地域における、町会(地域住民を中心とした、祭礼運営の実働部隊)と神輿会(年に複数回、祭礼やイベントにおいて神輿を担ぐことを続けている神輿愛好家による集団)、そして、非参加者との神輿渡御内外での関係性を説明することをとおして、上述の問いに答える。とくに本発表で注目するのは、成員のリクルートメント方法や社会階層の差異と、神輿渡御にたいする価値づけと実際の役割の差異の2点である。
以上の問いに答えることをとおして、東京都区部の神輿渡御を今日の姿にすることに寄与している、共同性の論理、自己充足の論理、そして、公共財の論理の3つの論理について論じる。

〈備考〉
 参加費は無料。
 要参加登録。7月27日13時まで。
 参加登録はこちらから:https://jp.surveymonkey.com/r/RKRF3Q5

〈問い合わせ先〉
 神戸大学大学院国際文化学研究科 文化人類学コース
 神戸人類学研究会:土井冬樹 huyukidoi@gmail.com

(※同様の詳細はFacebookのイベントページにも記載しております:https://www.facebook.com/events/1136666716732896/)

2020年2月29日土曜日

第15回研究会のお知らせ

第15回研究会を下記の通り開催いたします。
多くのご参加をお待ちしております。

今回は普段と違う会場(東京・上野駅近辺)で行います。
参加を希望される方は、geinoubunka@gmail.comまでご連絡ください。

日時: 2020年3月15日(日)14:00~

3月15日に予定しておりました第15回芸能文化研究会は、新型コロナウイルスの感染リスクを回避のため、また会場の方針を受け延期することにいたします。
今後のスケジュールは未定ですが、状況が整い次第お知らせします。

報告1:伊藤純(川村学園女子大学)
 「「伝承者」と言われて・・・ー芸能研究におけるオートエスノグラフィ分析」
報告2:鈴木昂太(総合研究大学院大学)
 「芸態研究の可能性―岩手県北上市和賀大乗神楽の事例に基づいて―」

発表要旨は後日、掲載いたします。