2019年6月26日水曜日
第十三回研究会のお知らせ
第13回研究会を下記の通り開催いたします。
議論への積極的な参加を歓迎します。
事前に以下のアドレスまでメールをいただけると幸いです。
geinoubunka〇gmail.com(〇を@に変えてください)
日時: 2019年7月21日(日)14:00~
於 :早稲田大学人間総合研究センター分室(27-8号館)
(新宿区戸塚町1-101 高田牧舎2階)
報告1:岩瀬裕子(首都大学東京大学院博士後期課程、国立民族学博物館館外研究員)「スペイン・カタルーニャ州の人間の塔におけるテクノロジーの受容をめぐって」
本発表は、スペイン・カタルーニャ州の祭りで220年以上にわたって行われている人間の塔における計測を主題にして、どのようなデジタル・テクノロジーが用いられ、それに対して人びとがいかに対応しているのかを民族誌的調査を通して明らかにするものである。人間の塔は、無数の肉体を密着させて塔の土台となる最下部を形成し、人が人の肩の上に上り下りすることで最下部の中心に人間による塔を造る。発表者が、2011年よりメンバー宅に断続的に住み込みながら塔造りをともにしている最古参のグループ(コリャ・ベリャ・ダルス・チケッツ・ダ・バイス、写真)では、塔造りに必要な参加者を把握するためにデジタル・テクノロジーを利用する動きはあるが、人間を正確に測り塔の構造に反映させるための利用はしていない。人びとが用いるのは、経験的に獲得、定着させてきた主として身体感覚に依拠したテクノロジーである。こうしてデジタル・テクノロジーの受け入れに伴う領域に差異がみられる背景には、身体ひとつで塔を造る人びとの「人間とは正確には測れないもの」という直観的な感覚と、「測ること」で失われてしまうことを危惧する二者関係があることを考察する。
なお、本発表は、2016年10月から行われている国立民族学博物館共同研究会(若手):「テクノロジー利用を伴う身体技法に関する学際的研究」における成果の一部である。
報告2:倉石美都(韓国 京幾大学 日語日文学科)「芸能の観光資源化とその後 ―河回別神クッと江陵仮面劇を中心に―」
韓国北東に位置する江陵市にはユネスコ無形文化遺産に登録された端午祭と、中部にはユネスコ世界遺産に登録された河回村がある。このどちらにも共通しているのが、仮面劇を伝統芸能としてもっている点である。河回村は別神クッタルノリ、江陵は無言で行われる江陵仮面劇である。どちらもユネスコに登録される前から行われているものであるが、無形文化遺産・世界遺産として河回村、端午祭が登録されると、よりクローズアップされるようになった。観光資源としての大きな役割を担ったわけである。その後、河回村も江陵端午祭もユネスコに登録されたことが人々の意識に定着すると、この芸能は観光資源の中心を担っていたものが、観光資源の一部としての役割を変える。
芸能が観光資源としての役割を担い、その役割を果たし、時間がたつにつれその役割を変えていく過程から、韓国における伝統芸能が、現在ではどのように認識され、どのような役割を担っているのかを考察していく。
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